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移住労働者の手数料問題アップデート①:国連特別報告者・作業部会が育成就労制度に関して懸念を表明

  • 5 時間前
  • 読了時間: 3分



(本記事は、2025年5月及び2025年10月にBHR Lawyers、外国人労働者弁護団、外国人技能実習生問題弁護士連絡会及びGCNJが共同開催したセミナーや開催報告書のフォローアップとして、移住労働者の手数料問題に関する最新動向を報告するものです。)


2026年1月、国連の特別報告者および作業部会は、日本の新しい移住労働者に関する制度である「育成就労制度」に対し、懸念を表明し回答を要請する書簡を日本政府に対し提出しました。日本政府の制度改善の取組は評価しつつも、高額な手数料が債務労働を招くリスクや、転籍を制限する厳しい要件が人権侵害に繋がる可能性を指摘しています。また、長期にわたる家族帯同の禁止や、派遣型就労における不透明な監視体制についても、国際的な人権基準に適合させるよう強く求めています。新制度が労働者の自由を奪う実態とならないよう、組織の独立性向上や救済措置の整備に関する具体的な回答を日本政府に要求しています。


 このコミュニケーションは、現代的形態の奴隷制に関する国連特別報告者である小保方智也氏が、ビジネスと人権作業部会、移住者の人権に関する特別報告者、人身売買(特に女性及び子供)に関する特別報告者と共に発表しました。小保方智也氏には、2025年10月実施のセミナー「外国人労働者を現代奴隷にしないために私たちに何ができるか~国連特別報告者(現代的形態の奴隷制担当)小保方智也氏に聞く ~」にもご登壇いただきました。


 国連の特別報告者及び作業部会は、育成就労制度について、技能実習制度からの改善を評価しつつも、以下の通り、国際的な人権基準の観点からいくつかの重大な懸念を表明しています。


・採用手数料と関連費用の負担

省令(第21条)が送り出し機関に支払う費用の基準を「月額報酬の2ヶ月分以内」としている点に強い懸念が示されています。これは、民間職業紹介所が労働者から手数料を徴収することを禁じたILO(国際労働機関)第181号条約に抵触する可能性があり、たとえ上限設定であっても、結果として送り出し国での費用徴収を正当化・促進してしまう恐れがあります。過度な費用負担は、強制労働の大きな要因である債務奴隷につながるリスクがあると警告されています。


・転籍(職場変更)の制限

新制度では転籍が可能になったものの、同一職種内での1〜2年の就労継続や技能・日本語能力といった厳格な要件が課されており、これが実質的に転籍を困難にしているとされています。さらに、転籍を受け入れる企業が多額のコストを負担しなければならない仕組みが、企業の受け入れ意欲を阻害し、労働者の権利行使を事実上妨げているという懸念が寄せられています。


・家族帯同の禁止

家族帯同の禁止に関しても改善が求められています。育成就労と特定技能1号を合わせた最大8年間にわたり家族の帯同が認められない現状は、国際的な人権基準が求める「家族の再統合」の促進に反していると指摘されています。


・季節分野における派遣形態の就労

農業や漁業などの季節的な分野において、派遣形態での就労が認められている点についても懸念を表明しています。派遣形態の就労については、雇用の不安定さや監視も脆弱にになりがちであり、制度運用の前に労働条件の遵守を確保する独立した監視システムの構築が必要であると述べられています。


・監理支援機関の独立性と中立性

多くの監理機関が受け入れ企業も所属する事業協同組合であることから、利益相反が生じる恐れがあり、労働者の権利を守るためには、これらの機関が受け入れ企業から真に独立して運営されるための更なる措置が必要であると強調されています。


詳細については、書簡原文をご確認ください。

 
 
 

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