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中小企業の相談・通報対応窓口
(グリーバンスメカニズム)整備の手引
—「声を聴く仕組み」で企業と社会の未来を守る

 一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)及びビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHR Lawyers)は、「中小企業グリーバンスメカニズム検討会を通じて、中小企業の皆様が、法令違反・ハラスメント・人権侵害などの相談・通報を受け付けて対応するための窓口(グリーバンスメカニズム)を整備するための手引として、「中小企業の相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)整備の手引を策定・発表しました。

 リソースに制約にある中小企業の皆様においても、今ある取組を活かしながら、無理なく仕組みを整備していくため重要原則・基本ステップ・ツールなどを解説していますので、是非ご活用ください​。

​ この手引策定にあたっては、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)、中小企業家同友会全国協議会(中同協)、及び一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)CSR委員会からもご支援・ご助言をいただきました。

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中小企業の相談・通報窓口

​(グリーバンスメカニズム)整備の手引

​相談・通報窓口(グリーバンスメカニズム)とは何か​

 相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)とは、一般的に、法令違反などの不正行為やハラスメントその他の人権に関わる問題などについて、従業員、お客様、取引先など、会社を取り巻く人たちの声を聴く仕組みをいいます。
 多くの相談や通報を受けることは、決して悪いことではありません。小さな問題でも指摘し合える風通しの良い企業風土を根付かせる観点からは、相談や通報が多いことはむしろ積極的に評価されるものです。経営トップが声を聴く姿勢を明確に示し、「相談・通報を歓迎する」というマインドセットを持つことが、会社のレジリエンス(組織の強靭さ)を高めることに直結します。
 この手引では、正式な「通報」に至る前でも「相談」に対応することを通じてリスクが芽のうちに摘み取り、早期に予防・是正することが重要であるという認識の下で、「相談・通報対応窓口」という用語を使用しています。また、社内の法令違反にとどまらず、様々な社内外の関係者からの人権に関わる問題に関する声を聴くことが重要であるという観点から、「グリーバンスメカニズム」という用語も使用しています。

​中小企業の経営に役立つ
5つのメリット​

 従業員、取引先、お客様など企業を取り巻く人々の声が中小企業の経営者に届かない場合、小さな問題やリスクが見過ごされ、不正行為、法令違反、人権侵害や大きな不祥事に発展するおそれや、人材の流出、さらには顧客離れなど、深刻な経営リスクにつながるおそれがあります。​

 一方、中小企業が相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)を整備することは以下の通り、様々な経営上のメリットがあります。

​1

不正の芽を早く摘み、早期の是正・救済を実現できる。

被害者の救済により「選ばれる企業」になる(SDGsへの実質的貢献)

​3

風通しの良い職場になり、人材獲得・維持につながる

お客様・取引先からの信頼がアップし、ビジネスチャンスが広がる

「下請いじめ」や「カスハラ」から自社や従業員を守れる

​手引の目次・構成

 この手引は、7つの章と3つの別紙から構成されており、中小企業が相談・通報対応窓口を整備するための重要​原則・基本ステップ・ツールなどを紹介しています。

第1章 相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)とこの手引の位置づけ
第2章 相談・通報対応における重要原則
第3章 相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)整備の基本ステップ
第4章 相談・通報対応フローと規程・通報フォーム整備上の留意点
第5章 社内研修等の実施要領

第6章 外部専門家・外部機関の活用

第7章 参考文献

別紙1 モデル相談・通報対応規程
別紙2 モデル通報フォーム
別紙3 手引をふまえた実践に向けて:中小企業関係者のヒアリング結果概要

 

 別紙3では、手引実践のための参考になるように、中小企業関係者の皆様からの手引に関するヒアリング結果概要を整理していますので、ご参照下さい。

​相談・通報対応における3つの重要原則

 手引第3章では、企業が法令違反などの不正行為やハラスメントその他の人権に関わる問題などについて相談・通報を受けた場合に「声を聴く姿勢」を示すために最低限押さえておくべき3つの原則を紹介しています。

1. 経営陣が率先して相談・通報を歓迎する

社内外の関係者が安心・信頼して声をあげられる企業風土や職場環境を整えるためには、経営陣が率先して相談・通報を歓迎する姿勢を示すことが不可欠です。

2. 不利益な取扱いなどの報復行為を禁止する

企業が労働者をはじめとする関係者から相談・通報を受けた場合には、相談・通報者や調査協力者に対し、相談・通報したことや調査に協力にしたことを理由として、不利益な取扱いなどの報復行為を行うことは禁止しましょう。

3. 通報に関する秘密を保持する

企業が労働者はじめ会社を取り巻く人々から相談・通報を受けた場合には、相談・通報内容のいかんにかかわらず、通報者を特定させる事実や通報に関する秘密を正当な理由なく開示することや通報者を探索することを禁止しましょう。

​相談・通報対応窓口整備の12の基本ステップ

 手引第4章では、企業が相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)を整備するにあたっての12の基本ステップや留意点を紹介しています。最初からこの手引に記載された全ての基本ステップを完全に実践することが期待されているわけではありません。また、中小企業はその規模・業態等によって極めて多様ですので、相談・通報対応窓口(グリーバンスメカニズム)の整備方法にも、画一的な正解はありません。できるところから始めて、継続的に見直し・改善をしていただくことが期待されます。

1 相談を促す取組の活用と推進

5 相談・通報対応規程及び通報フォームの整備

9 措置の決定・実施

2 相談・通報対応窓口の設置と開示

6 利益相反の防止

10 相談・通報対応状況の通知・開示

3 様々な関係者からの幅広い内容の相談・通報の受付

7. 受け付けた通報の初期的な審査・評価

11 社内研修と窓口担当者の育成

4 相談・通報対応窓口の周知

8 事実の調査

12 定期的な見直し・改善 

​手引の対象企業・活用方法

 この手引は、中小企業基本法が定める従業員数の基準(例えば、製造業等では常時使用する従業員の数が300人以下、サービス業・卸売業等では常時使用する従業員の数が100人以下、小売業では常時使用する従業員の数が50人以下)に基づく中小企業 の経営者や担当者の皆様を主な対象として想定し、策定しています。
 しかし、これらの従業員数の基準を超える企業でも、グリーバンスメカニズムをこれから整備・強化する場合には参考となる内容とすることも目指しています。また、小規模事業者でリソースが極めて限定されている企業においても、最低限押さえていただきたい原則や最初のステップを解説しています。
 さらに、サプライチェーンを通じた人権尊重や通報の対応に積極的に取り組んでいる企業において、取引先である中小企業のグリーバンスメカニズム整備を働きかけ、支援する場合に参考としていただくことも想定しています。その場合、公正な事業慣行の確保の観点から、取引先である中小企業のみに過大な負担を課すことにならないように、サプライチェーンの取引先との対話を通じて共同で取組を行っていくことが重要です。

 

​手引の策定プロセス

 この手引は、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)とビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHR Lawyers)が、公益通報対応・ハラスメント対応・人権救済メカニズムに知見・経験を有する法律家・サステナビリティ専門家・企業関係者等から組織される「中小企業グリーバンスメカニズム検討会」を組織し、検討を重ねて取りまとめたものです。
 手引の策定にあたっては、この手引がより実効的かつ利用しやすいものになる観点から、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の企業関係者・専門家の皆様、中小企業家同友会全国協議会(中同協)の中小企業経営者の皆様、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)CSR委員会が実施したサステナブル調達パートナーシップ(SPP)トライアル事業に参加した中小企業担当者の皆様からご意見を伺う機会をいただきました。
 また、日本弁護士連合会に所属し中小・地域企業のコンプライアンスや人権尊重の取組を支援する弁護士の皆様、外国人労働者弁護団・外国人技能実習生問題弁護士連絡会の外国人労働者の救済を支援する弁護士の皆様からもご意見をいただきました。

 関係者の皆様のご協力やご助言に心より感謝いたします。

​中小企業のグリーバンスメカニズム検討会


委員(五十音順)
秋山  平 一般社団法人電子情報技術産業協会CSR委員会 サステナブル調達パートナーシップ構想検討タスクフォース
氏家 啓一 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン BHR Specialist

大村 恵実 弁護士(CLS日比谷東京法律事務所)

蔵元 左近 弁護士(蔵元国際法律事務所)

小林 美奈 弁護士(弁護士法人ANSWERZ)/JaCER リーガルマネジャー

五味 祐子 弁護士(国広総合法律事務所)

斉藤 一隆 中小企業家同友会全国協議会 政策局長

高木 晶弘 JaCER グリーバンスマネジャー

高橋 大祐 弁護士(真和総合法律事務所)

冨田 秀実 一般社団法人サステナビリティ経営研究所 代表理事

森実 尚子 一般社団法人電子情報技術産業協会CSR委員会 サステナブル調達パートナーシップ構想検討タスクフォース


 

BHR Lawyers Network Japan / ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク

Email: bhrlawyers.japan@gmail.com

Kindly note that we do not accept inquiries or requests for consultation on individual cases.

​恐れ入りますが、個別案件のご相談やお問い合わせは受け付けておりません。

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