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アジアからの「ビジネスと人権」の主体的な取組を促す
企業における「人間の安全保障」インデックス(CHSI)

プロジェクト

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 東京大学持続的平和研究センター(RCSP)及びビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHR Lawyers)は、RCSPの研究プロジェクトの一環として、企業の人権尊重・促進の取組をアジアのコンテクストの中で客観的に評価するための指標として、「企業における『人間の安全保障』インデックス(CHSI:Corporate Human Security Index)」の策定・発展・普及を進めています。

 人間一人ひとりに着目し、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す「人間の安全保障」の視点は、SDGsの「誰一人取り残さない」の理念にもつながっています。このプロジェクトは、「人間の安全保障」の視点から、企業のESGの「S(社会)」及び「ビジネスと人権」の取組をとらえ直し可視化することにより、企業の主体的な取組を促進・支援することを目標としています。

 ワーキンググループ学生チームでの作業及びアドバイザリーボードからの助言をふまえて、2021年10月、CHSIの意義、CHSIのメソドロジー及び事例研究の結果を取りまとめた「企業における「人間の安全保障」インデックス(CHSI:Corporate Human Security Index)プロジェクト報告書 2021年10月版」を発表しました。

 今後もCHSIの改善・発展・普及を目指してまいりますので、多くの皆様からの報告書に対するご意見をお待ちしています。

​Why Corporate Human Security?

​なぜ企業においても「人間の安全保障」が重要なのか

 指導原則に基づき、企業には、人権尊重責任を果たすために、人権への負の影響を特定・防止・軽減するための「人権デュー・ディリジェンス」の実施が求められています。

 このような指導原則の要請を超えて、企業には、個人の選択可能性や自由を促進し、ウェル・ビーイング(well-being)の実現に貢献するという点で、人権への正の影響を促進する役割も期待されています。

 以上のような企業の両面的な役割は、人びと一人ひとりに焦点を当て、その安全を最優先(保護)するとともに、人びと自らが安全と発展を推進(エンパワーメント)することを重視する、「人間の安全保障」の視点から企業のESGの「S(社会)」及び人権尊重の取組をとらえ直すことを通じて理論的に整理できます。

 人権への負の影響の防止及び人権への正の影響の促進のいずれの取組でも一貫して、社会的に脆弱な人々の権利に特に配慮し、ステークホルダーとの対話を通じてその救済に取り組むことが重要となります。
 このような「人間の安全保障」に基づく企業行動の推進は、ステークホルダーの利益を含む社会的価値を増大させ、企業の存在意義(パーパス)を明確にすることで、企業のインテグリティ・レジリエンスや企業価値の向上にもつながっていく可能性もあります。

​Methodology

​メソドロジー

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 CHSIは、企業の人権尊重の取組を、「人間の安全保障」における「保護」と「エンパワーメント」の双方の視点からとらえ直したうえで、「ベース評価(Base Assessment)」と「エンパワーメント評価(Empowerment-based Assessment)」の両面から評価しています。

 ベース評価では、主に企業の「保護」(=指導原則における人権の「尊重」及び「救済」)に関わる活動を評価しています。指導原則などの国際規範に基づく人権DDのプロセスをベースにしているものの、社会的に脆弱な人々への配慮ステークホルダーとの対話・救済を特に重点的に評価している点に特徴があります。

 エンパワーメント評価は、主に企業の「エンパワーメント」、企業の人権に正の影響を与え得る活動を評価している。企業の代表的な3つのプロジェクトを抽出し、「権利の明確化」、「持続可能性の確保」、「企業方針と組織体制」、「インパクトの明確化」、「ステークホルダーとの対話」の5つの側面から評価することにより、企業方針に根差した持続可能な活動を積極的に評価しています。それと共に、ベース評価と共通して、社会的に脆弱な人々の権利をステークホルダーとの対話を通じて実現していくことも強調しています。

 なお、CHSIのメソドロジーを開発することと並行して、学生チームにおいて、日本企業の取組に関するケース・スタディを実施しました。実際に各企業のCHSIの評価を試行的に行うことを通じて課題を認識しました。

​Advisory Group

​アドバイザリーグループ

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 CHSIの策定に向けて、企業・投資家・市民社会・政府・国際機関・研究者など各界の専門家の皆様ご助言をいただくため、アドバイザリーグループを設置しています。

アドバイザーグループメンバー(敬称略)

赤星 聖    関西学院大学法学部 准教授
キハラハント愛 東京大学大学院「人間の安全保障」プログラム 准教授/持続的平和研究センター センター長(2021年4月1日以降)
香川 陽子   元世界銀行 パブリック・セクター上級専門官
河野 康子   一般財団法人日本消費者協会 理事
近藤 哲生   国連開発計画(UNDP) 駐日代表
佐々木清隆   一橋大学大学院経営管理研究科 客員教授 / グローバル金融規制研究フォーラム代表
佐藤  寛   日本貿易振興機構アジア経済研究所 上席主任調査研究員 
関  正雄   明治大学経営学部特任教授 / 損害保険ジャパン株式会社サステナビリティ推進部  シ ニアアドバイザー
銭谷 美幸   第一生命保険株式会社 エグゼクティブ・サステナブルファイナンス・スペシャリスト
田瀬 和夫   SDGパートナーズ代表取締役 CEO / 国連フォーラム共同代表
徳田 展子   一般社団法人日本投資顧問業協会 ESG室長
水口 剛    高崎経済大学 学長

​Working Group

​ワーキンググループ

 人間の安全保障・人権・労働・投資・経営・コンプライアンスなどの異なる分野を専門とする、若手からベテランまで多様な研究者・実務家が集まって議論を行いながらプロジェクトにおける作業を進めています(肩書は、肩書は2021年3月1日時点のもの)。

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​佐藤 暁子

​ことのは総合法律事務所 弁護士

​ビジネスと人権リソースセンター

​日本プログラムコーディネーター

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吾郷 眞一

立命館大学 

衣笠総合研究機構 教授

​国際平和ミュージアム館長

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真中 克明

東京海上アセットマネジメント

株式会社

責任投資部 アナリスト

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​佐藤 安信

​(主事)

東京大学 

大学院総合文化研究科 教授

​持続的平和センター センター長

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藤野 真也

麗澤大学 国際学部

グローバルビジネス学科 

助教

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​高橋 大祐

​(主事)

真和総合法律事務所 弁護士

​日本弁護士連合会 弁護士業務改革委員会 CSRPT副座長

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平井 采花

ESGアナリスト

東京大学持続的平和研究センター

CHSIプロジェクト事務局

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​Student Team

​学生チーム

 国際機関への就職や国際協力に関心のある学生が集まる東京大学の学生団体UNIONを中心に、学生・新卒生が、ワーキンググループの監修の下で、企業における「人間の安全保障」に関するケーススタディに協力しています(肩書は2021年3月1日時点のもの)。

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​UNION

国際機関への就職や国際協力に関心のある学生が集まる東京大学の学生団体

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北岡憧子

東京大学法科大学院2020年卒

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松井春樹

東京大学4年

​元UNION代表

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​溜慶太

東京大学法科大学院2020年卒

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杉本明子

東京大学教養学部文科3類2年

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​原健志

東京大学法科大学院3年生

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吉川照現

一橋大学法学部2018年卒

News

CHSIプロジェクト関連ニュース

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CHSIプロジェクトの中間報告会として、CHSIインデックスのメソドロジーの検討状況及び日本企業の取組状況に関するケーススタディの実施状況をご報告します。皆様と共にディスカッションを行うと共に、今後のCHSIインデックス策定に向けた予定についても報告します。

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企業行動憲章タスクフォースの座長、ビジネスと人権タスクフォースの座長、CBCCの企画部会長として、経団連のSDGs・CSR推進に携わられている関正雄先生に、ESG投資とSosiety5.0 for SDGsの関係について提言した、経団連、GPIF、東京大学の共同研究の成果である報告書(2020年3月26日)もご紹介いただきながら、最近の企業側の動きについてご報告いただきます。

​Contact

CHSIプロジェクト​問い合わせ先

東京大学持続的平和研究センター(RCSP)事務局

 担当 佐藤安信 平井采花

   Email: cdroffice9@gmail.com

 

ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク事務局

 担当 高橋大祐 佐藤暁子

   Email: bhrlawyers.japan@gmail.com

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