SUPPLY CHAINS MIGRANT WORKERS GUIDELINES  

​Call for Public Comments

サプライチェーン外国人労働者ガイドライン

​パブリックコメントのお願い

 ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク外国人労働者弁護団、及び外国人技能実習生問題弁護士連絡会は、この度、日本企業が、サプライチェーンを通じて外国人労働者の労働環境の改善に取り組むためのガイドラインとして、「サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善に関するガイドライン」(サプライチェーン外国人労働者ガイドライン)の素案を発表しました。

 技能実習生などの非熟練外国人労働者は社会的に脆弱な立場にあり、新型コロナウイルス感染拡大に伴う危機を通じても深刻な影響を受けています。このような外国人労働者の脆弱性に十分に対応しない場合には、外国人労働者の人権侵害を発生させかねず、そのことは同時に日本産業全体の発展を妨げるビジネスリスクにもつながりかねません。

 そこで、企業を支援する弁護士らと外国人労働者を支援する弁護士らにおいて、その立場を超えた対話と協働を通じたコレクティブアクションを通じて本ガイドライン案を策定したものです。なお、本ガイドライン策定のプロジェクトは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から東京2020応援プロジェクト(持続可能性)の認証を受けております。

 本ガイドラインがより実効的な内容となるように、関係者の皆様からご意見をいただきたく、パブリックコメントを募集しております。皆様からのご意見をお待ちしております。

<意見募集期間> 2020年7月6日(月)まで

<提出先・お問い合わせ先>

ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク
(担当 弁護士 大村恵実 弁護士 高橋大祐)
Email: bhrlawyer.japan@gmail.com

〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学9号館304B 
持続的平和研究センター気付
TEL: 03-5465-8842

又は

外国人労働者弁護団 外国人技能実習生問題弁護士連絡会
(担当 弁護士 指宿昭一 弁護士 宮城知佳)
Email: grb.jimu@gmail.com

<提出方法>

 ご所属・ご氏名・ご連絡先を記載の上で、上記Emailアドレスまでご送付ください。なお、個人情報は適切に管理し、パブリックコメントをふまえた本ガイドラインの策定・普及のみの目的で使用させていただきます。

サプライチェーン外国人労働者.png

​(実寸A4サイズ)

​サプライチェーン外国人

労働者ガイドライン素案

​Backgrounds

​ガイドラインの趣旨

 技能実習生や入国管理法改正による新在留資格(特定技能1号)取得者などの非熟練労働者 (以下、「外国人労働者」といいます)は、言語上のハンディキャップや、社会との繋がりの弱さなどから、募集・採用段階の情報収集や労働条件の交渉等において脆弱な立場にある。外国人労働者の増加するわが国において、その適切な雇用管理と労働環境改善の重要性はますます大きくなっているといえます。

 特に新型コロナウイルスへの対応に伴う経済社会への多方面の影響・制限によって、一層外国人労働者の脆弱性が浮き彫りになり、適切な保護がなければ直ちに貧困に陥り、その権利が侵害されてしまう深刻な影響が懸念されています。
 わが国における外国人労働者をめぐる問題は、技能実習生などの外国人労働者を自社で直接受け入れている企業だけの問題ではありません。自社グループ外のサプライチェーンで外国人労働者を受け入れている可能性がある大手企業を含むあらゆる日本企業において、適切な対応を行うことが必要です。
 日本企業が、国際労働基準及び国内法令に従い、サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境の改善をはじめとする人権課題に積極的に取り組むことは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく企業の人権尊重責任に沿い、「誰一人として取り残さない」理念のもと、国連持続可能な開発目標SDGs。とりわけ目標8「ディーセントワークの促進」、目標12「持続可能な生産・消費」)の達成に向けた努力にもかないます。そして、企業の事業・サプライチェーンを健全化・安定化させ、多様性を包摂する(ダイバーシティー&インクルージョン)、開かれた日本企業・社会を実現することは、日本産業界の発展に繋がる点でも有益です。
 他方、外国人労働者の脆弱性に十分に対応しない場合には、外国人労働者の人権侵害を発生させかねません。ひとたび人権侵害が発生すれば、取引先としての信頼を損ない、法的対応を迫られ、ひいては財務リスクへの懸念を生じさせることにもなります。また、日本の労働市場に対する外国人労働者からの信頼を損なえば、将来の人材確保にとってもリスクとなります。一企業の問題にとどまらず、特に海外機関投資家からの投資先としての魅力を損なうという点において、日本産業界全体の発展を妨げるビジネスリスクにもつながりかねなません。
 とはいえ、企業が、サプライチェーンにおける問題を独自に探知し対応することは、容易でない場合が多い状況にあります。そこで、本ガイドラインは、かかるリスクに適切に対応し、外国人労働者の労働環境改善に取り組むための行動原則、モデル調達基準、対話・協働実務指針を提示するものです。

​Structure

​ガイドラインの構造

 サプライチェーン外国人労働者ガイドラインは、下記のとおり、3つの文書から構成されています。

I 行動原則: 企業が、サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境の改善をはじめ人権課題に取り組むうえで有益な5つの行動を提示。

II モデル調達基準: 企業が、外国人労働者の労働環境を改善する観点から、サプライチェーンに対して遵守を要請する調達基準を提示。

III 対話・協働のための実務指針: 企業及び企業をサポートする経済団体、業界団体、弁護士を含む専門家と、外国人労働者及び外国人労働者を支援するNGO、労働組合、弁護士を含む専門家が、建設的に対話・協働するための5つの実務指針を提示。

Ⅰ行動原則

 指導原則に基づく企業の人権尊重責任を果たすべく、人権デューデリジェンスの一環として、企業がサプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善をはじめ、人権課題に取り組むうえで有益な5つの行動を提示しています。

1. 方針・基準の策定

国際労働基準及び国内法令に基づき、自社の行動規範及びサプライチェーンに対する調達方針・基準を策定する。外国人労働者の労働環境の改善に関する項目を規定した上で、サプライヤーに対してかかる方針・基準の遵守の要請を行う。

2. 確認・調査の実施

企業は、自社の事業及びサプライチェーンにおいて、外国人労働者の雇用の有無に関して確認する。サプライヤーが外国人労働者を受け入れていることが判明した場合には、重点的に法令違反・人権侵害の有無に関して調査を行えるよう体制を整え、同体制の下、調査を実施する。

3.苦情処理・問題解決メカニズムの整備・活用

企業は、サプライチェーンにおける外国人労働者及びその支援者も対象として苦情申立や問題提起を受け付ける、苦情処理・問題解決窓口を設置するほか、企業外部に設置される苦情処理・問題解決センター等のメカニズムを整備・活用する。

4.NGO・労働組合等との対話・協働

企業は、外国人労働者を支援するNGO、労働組合、弁護士等と対話・協働しながら、人権侵害リスクの把握に努め、サプライヤーに対し問題がある場合には是正に向けた働きかけを行う。

5.サプライヤーとの協働

企業は、サプライヤーに対して、外国人労働者の人権尊重に関する情報提供・能力強化の支援に努めると共に、外国人労働者の労働環境の改善をはじめとする人権課題への取り組みにかかるコストの分担を含む、適切な取引条件の実現に向けた対話に努める。

Ⅱモデル調達基準

 日本における労働慣行や課題を踏まえ、日本企業がサプライヤーに対し、外国人労働者の労働環境の改善を働きかけることを念頭に、以下の項目の調達基準を提示しています。

 第1条 中核的労働基準の遵守

 第2条 雇用契約等

 第3条 仲介業者等の利用

 第4条 仲介手数料その他関連費用の制限

 第5条 保証金・違約金条項・強制貯金の禁止

 第6条 身分証明書等の保管の禁止

 第7条 賃金及び労働時間

 第8条 労働安全衛生

 第9条 渡航・帰航費用

 第10条 苦情処理制度

Ⅲ対話・協働のための実務指針

 企業及び企業をサポートする経済団体、業界団体、弁護士を含む専門家(以下「企業等」)と、外国人労働者及び外国人労働者を支援するNGO、労働組合、弁護士を含む専門家(以下「外国人労働者等」)が、当該企業のサプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境の改善と人権課題への取り組みを目的として、建設的に対話・協働するための5つの実務指針を提示しています。

​1

対話・協働が相互の利益につながるという理解を共有する。

責任の所在ではなく、外国人労働者の人権尊重という課題解決にフォーカスする。

​3

相互に連携して、サプライチェーンにおける事実調査や働きかけを行う。

必要に応じて独立した専門家を仲介者として活用する。

他の企業・団体や関係機関とも連携して、解決方法を模索する。

How to Use

​ガイドラインの活用方法

 本ガイドラインは、現時点での日本国内外のグッド・プラクティスを踏まえて、実務指針を示すことを目的としています。日本企業は、本ガイドラインを、自社の対応を整備し、また、自社の既存の対応の実効性について評価・見直しする場合の基準として参照し、サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善をはじめとする人権課題への取り組みを進めていくことが期待されます。また、企業が、労働者・投資家・取引先・市民社会などステークホルダーとの対話の際に活用することも期待されます。
 なお、本ガイドラインは、上記定義のとおり、日本国内における外国人労働者を対象としていますが、基本的な考え方は、国外におけるサプライチェーンに関しても適用できるものです。

​Process

​ガイドラインの策定プロセス

 本ガイドライン案は、企業を支援する弁護士らと外国人労働者を支援する弁護士らにおいて、その立場を超えた対話と協働を通じたコレクティブアクションを通じて策定したものです。また、本ガイドライン案の策定に当たっては、多くの日本企業、投資家、労働組合、市民社会団体、国際機関、研究者の方々からコメントや助言をいただいたことに深く感謝します。

 策定した素案について、今後より広く国内外のステークホルダーの方々の意見を照会した上で、本ガイドラインの第1版を発表します。また、関係機関と連携しながら、その普及・改善に向けた活動を行っていく予定です。

Email: bhrlawyers.japan@gmail.com

Address: C/O Research Center for Sustainable Peace (RCSP), the University of Tokyo

3-8-1 Komaba, Meguro-ku, Tokyo, 153-8902, JAPAN

〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学 9号館304B 持続的平和研究センター気付

Tel: (+81)-3-5465-8842