COVID-19 & BHR RESEARCH PROJECT
Overview
調査レポートの概要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が人々の人権に深刻な負の影響を与えており、政府の対策に加えて、企業にも人権への負の影響の拡大を可能な限り緩和できるように配慮や工夫が期待されています。
日本企業、政府、その他のステークホルダーにおける対応の検討にあたっては、感染拡大およびそれに伴う企業活動への影響が日本よりも先行して発生している欧米諸国の取組を参考とすることが有益である一方、日本独自の課題や留意点も考慮する必要があります。
そこで、ビジネスと人権ロイヤーズネットワークの弁護士有志において、この度、「COVID-19 & BHR調査プロジェクト」を組織し、調査レポート「新型コロナウイルス感染症拡大の人権への影響と企業活動における対応上の留意点」を取りまとめ,国内外における情報を整理しました。
本レポートは執筆した時点における情報を暫定的にまとめたものにとどまり,今後の状況の変化や企業・政府・ステークホルダーにおける取組の進展をふまえて、改訂を行っていく予定です。企業・政府・ステークホルダーの関係者の皆様におかれては、是非、下記まで、フィードバックや情報提供をいただければ幸いです。
<ご連絡・お問い合わせ先>
ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク
弁護士 大村恵実 弁護士 佐藤暁子 弁護士 高橋大祐
Email: bhrlawyers.japan@gmail.com
〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学9号館304B
持続的平和研究センター気付
TEL: 03-5465-8842
調査レポート
(第1版)全文
Acknowledgement
謝辞
本レポート作成にあたっては、ILO駐日事務所プログラムオフィサーの田中竜介氏、OECD責任ある企業行動センターのポリシーアドバイザーのStephanie Venuti氏、UNDPアジア太平洋地域事務所ビジネスと人権グローバルアドバイザーのLivio Sarandrea氏から海外及び国際機関における取組状況に関して有益な情報提供をいただいたことに深く感謝いたします。
なお、本レポートにあり得るべき一切の誤りは筆者らの責に帰するものです。また、本レポートの記載は、筆者らの所属する組織や関係機関の意見を代表するものではありません。
Structure
本レポートの構成
本レポートは、特に影響が懸念される以下の6つの分野について、影響と対応を整理しています。
BHR Challenges
試されるビジネスと人権
新型コロナウイルス感染拡大により、企業の経済活動と人権双方が未曾有の危機に直面している状況において、いかにして、ビジネスと人権に関する国連指導原則(以下「指導原則」)に基づき、国家が人権を保護する義務を果たし、また企業が人権を尊重する責任を果たしていくことができるかが試されています。
指導原則は、①政府が人権を保護する義務、②企業が人権を尊重する責任、③人権侵害の被害者に対する救済へのアクセスの確保という3つの柱を示しています。この指導原則の枠組においては、企業にも、2つ目の柱である人権尊重責任を果たすために、企業活動のサプライチェーンを通じた人権への負の影響を評価し、対処するという人権デュー・ディリジェンス(人権DD)が求められています。この指導原則のDDの要素は、OECD多国籍企業行動指針やILO多国籍企業宣言にも組み込まれています。
新型コロナウイルス感染拡大により企業活動が深刻な打撃を受ける中、まずは各国政府において、企業の経済活動や国民の生活・雇用を維持するための施策が求められており、すでに日本政府を含む各国政府において一部の措置が実施されています。一方、企業活動の変化に伴い人権への負の影響の拡大が懸念される中、企業においても、人権への負の影響の拡大を可能な限り緩和できるように配慮や工夫が期待されています。
また、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした危機は、ビジネスパーソンを含む人々の考え方及び行動様式を大きく変えています。このような危機とその対応は、企業が真の意味で持続可能で、社会に価値を提供し、またその責任を果たすものに変革する機会も提供しています。
News
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